税務情報
来年度税制改正 相続税改革先送りへ
自民党税制調査会が新しい事業承継税制の制度化にあわせて検討していた相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めるなどの相続税改革を、来年度税制改正で
措置するのは困難と判断したため先送りになる方向となりました。
現行方式と検討された遺産課税方式の違い(税制調査会の資料より)
★現行の相続税額計算方式(法定相続分に応じて計算する方式)
- 各取得者の税額の計算方法
- 遺産総額が法定相続分どおりに分割・取得されたとして総税額を算定する。
- それを各取得者の実際の取得財産により按分する。
- 現行方式の問題点(新方式を検討した理由)
- 税額の計算申告のために、他の相続人等の分も含め、全ての相続財産の把握が必要であり、どこかで申告漏れがあると、それと無関係な取得者も追徴される。
- 基礎控除に定額部分(5,000万円)がある事等から、個々の取得者にとっては同額の財産を取得しても法定相続人の人数等によって税額が異なる事となり、水平的公平に問題がある。
- 居住や事業の継続に着目した特例措置に基づく減額分が遺産総額から控除されるため、それと無関係な他の相続人等の税額も軽減される。
★検討課題とされた遺産取得課税方式(取得分に応じ個別に計算する方式)
- 各取得者の税額の計算方法
- それぞれが実際に所得した財産の額に基づいて個別に計算する。
- 新方式での特徴(検討されたメリット)
- 自分の取得した財産のみから税額を計算・申告する簡素な方式であり、他の取得者の財産取得や税務申告の状況に左右されない。
- 原則として、取得財産が同額であれば税額も同額となり、水平的公平を実現できる。
- 取得者ごとに税額を計算するため、居住や事業の継続といった取得者の特性に着目し、当該取得者に限り負担軽減を行う特例措置の手当てが容易となる。
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