自民・公明両党は1月24日、平成25年度税制改正大綱を決定した。来年4月以降の消費税率引き上げを意識し、消費増税に対する負担軽減策が多く盛り込まれた 内容となっている。今回の税制改正による減税効果は平年度ベースで約2,700億円に及ぶと見込まれている。
主な改正項目は以下の通り。
現行の税率構造に加えて、課税所得4,000万円超について45%の税率を設ける。この改正は、 平成27年分以後の所得税について適用する。
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について適用期限を平成29年12月31日まで4年延長すると共に、平成26年4月から平成29年12月までの間に 住宅の取得等をして居住の用に供した場合の各年の控除限度額を40万円に引き上げる。但し、住宅の対価の額に含まれる消費税の税率が8%又は10%の場合に限る。
住宅借入金等特別税額控除の適用がある者で平成26年4月から平成29年12月までの入居したもののうち、特別税額控除額から所得税額を 控除した残額があるときに翌年度分の住民税から減額する控除限度額を所得税課税総所得金額×7%相当額(最高13.65万円)に引き上げる。 但し、住宅の対価に含まれる消費税の税率が8%又は10%の場合に限る。
社会保険診療報酬の所得計算特例について、適用対象者から医業及び歯科医業に係る収入金額が7,000万円超の者を除外する(法人税についても同様とする)。
この改正は平成26年分以後の所得税及び平成27年度分以後の住民税について適用し、法人は平成25年4月1日以後の開始事業年度より適用する。
現行 | 改正案 | |
---|---|---|
定額控除 | 5,000万円 | 3,000万円 |
法定相続人比例控除 | 1,000万円に法定相続人数を乗じた金額 | 600万円に法定相続人数を乗じた金額 |
現行 | 改正案 | ||
---|---|---|---|
税率 | 税率 | ||
1,000万円以下の金額 | 10% | 同左 | |
3,000万円以下の金額 | 15% | 同左 | |
5,000万円以下の金額 | 20% | 同左 | |
1億円以下の金額 | 30% | 同左 | |
3億円以下の金額 | 40% | 2億円以下の金額 | 40% |
― | 3億円以下の金額 | 45% | |
3億円超の金額 | 50% | 6億円以下の金額 | 50% |
― | 6億円超の金額 | 55% |
20歳までの1年につき10万円(現行6万円)
85歳までの1年につき10万円(現行6万円)
特別障害者については20万円(現行10万円)
※上記1.2.3の改正は、平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産にかかる相続税について適用する。
現行 | 改正案 | ||
---|---|---|---|
税率 | 税率 | ||
200万円以下の金額 | 10% | 同左 | |
300万円以下の金額 | 15% | 400万円以下の金額 | 15% |
400万円以下の金額 | 20% | 600万円以下の金額 | 20% |
600万円以下の金額 | 30% | 1,000万円以下の金額 | 30% |
1,000万円以下の金額 | 40% | 1,500万円以下の金額 | 40% |
― | 3,000万円以下の金額 | 45% | |
1,000万円超の金額 | 50% | 4,500万円以下の金額 | 50% |
― | 4,500万円超の金額 | 55% |
現行 | 改正案 | ||
---|---|---|---|
税率 | 税率 | ||
200万円以下の金額 | 10% | 同左 | |
300万円以下の金額 | 15% | 同左 | |
400万円以下の金額 | 20% | 同左 | |
600万円以下の金額 | 30% | 同左 | |
1,000万円以下の金額 | 40% | 同左 | |
― | 1,500万円以下の金額 | 45% | |
1,000万円超の金額 | 50% | 3,000円以下の金額 | 50% |
― | 3,000万円超の金額 | 55% |
※上記4.5の改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。
受贈者(30歳未満の者に限る)の教育資金に充てる為にその直系尊属が金銭等を拠出し、金融機関に信託等をした場合には、信託受益権の 価額又は拠出された金銭のうち受贈者1人につき1,500万円(学校等以外の者に支払われる金銭ついては500万円を限度とする)までの金額は 平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さない。
青色申告法人の平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度において取得等をした国内の事業用に供する生産等設備で 、その事業年度終了日に有する取得価額の合計額が次のA及びBの金額を超える場合において、その生産等設備のうち機械装置を国内の事業用に供した時は、 その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の3%の税額控除との選択適用ができる。但し、税額控除の額は当期の法人税額の20%を限度とする(所得税についても同様とする)。
※生産等設備とは、製造業その他の事業用に直接供される減価償却資産をいう。なお、本店・寄宿舎等の建物、事務用器具備品、乗用自動車、福利厚生施設等は 、該当しない。
青色申告法人が平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内の雇用者への給与を5%以上増やして支給した時は、その給与支給増加額の10%の税額控除 ができる。但し、控除税額は、当期の法人税額の10%(中小企業は20%)を限度とする(所得税についても同様とする)。
青色申告中小企業等で経営改善に関する指導及び助言を受けたものが、平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に、その指導等を受けて行う店舗の改修に伴って 器具備品及び建物付属設備を取得した時は、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の7%の税額控除との選択適用ができる。但し、税額控除の額は 当期の法人税額の20%を限度とし、控除限度超過額は1年間の繰越ができる(所得税についても同様とする)。
(※1)経営改善に関する指導及び助言とは、商工会議所、認定経営革新等支援機関等によるものをいう。
(※2)対象となる器具備品は取得価額が30万円以上のものとし、建物付属設備は60万円以上のものとする。
(※3)税額控除の対象は、資本金額等が3,000万円以下の中小企業に限る。
税額控除限度額を増加雇用者数を1人当たり40万円(現行20万円)に引き上げるほか、適用要件の判定の基礎となる雇用者の範囲について所要の措置を講ずる(所得税についても同様とする)。
中小法人に係る損金算入の特例について、定額控除限度額を800万円(現行600万円)に引き上げるとともに、定額控除限度額までの損金不算入措置(現行10%)を廃止する。
不動産譲渡契約書等に係る印紙税の税率の特別措置について、その適用期限を5年延長した上、平成26年4月1日以後に作成される文書に係る税率を次の通りに引き下げる。
契約金額 | 現行 | 改正案 | |||
---|---|---|---|---|---|
不動産の譲渡に関する契約書 | 建設工事の請負に関する契約書 | ||||
10万円超 | 50万円以下 | 100万円超 | 200万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超 | 100万円以下 | 200万円超 | 300万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超 | 500万円以下 | 300万円超 | 500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超 | 1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 | ||
1,000万円超 | 5,000万円以下 | 1万5千円 | 1万円 | ||
5,000万円超 | 1億円以下 | 4万5千円 | 3万円 | ||
1億円超 | 5億円以下 | 8万円 | 6万円 | ||
5億円超 | 10億円以下 | 18万円 | 16万円 | ||
10億円超 | 50億円以下 | 36万円 | 32万円 | ||
50億円超 | 54万円 | 48万円 |
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