基準地価は毎年7月1日時点での地価を都道府県が調査したものです。基準となる地点を毎年少しずつ入れ替え調査しています。今年は全国23,749地点で調査が行われました。
平成20年基準地価の変動率(前年の基準地価に対する成長率)の全国平均は、住宅地で-1.2%(昨年-0.7%)・商業地で-0.8%(昨年1.0%)・全用途では-1.2%(-0.5%)となりました。
住宅地においては5年ぶりに下落幅が拡大、商業地では昨年上昇に転じたにも関わらず本年は再び下落してしまいました。全用途においては17年連続下落でそれでも平成15年からは下落幅が縮小していたのが平成20年は下落幅が広がってしまいました。
大きな要因として、今まで地価上昇を主導してきた外資の流入が、米国のサブプライムローン(低所得者向高金利住宅ローン)問題で縮小されてしまったことが挙げられます。 先ごろ大きなニュースとなった米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻など、サブプライムローンに端を発する金融不安は世界的な広がりを見せ、外資の投資意欲は急減しています。日本の不動産の金融商品化が進みグローバルな投資に左右されやすくなっていたと言えるでしょう。
併せて国内的な要因として、景気低迷によるマンション販売の不振など個人や企業の土地や住宅の取得がかなり鈍っていることも挙げられるでしょう。
これらの証拠として不動産投資が活発でここまで地価を牽引してきた三大都市圏の変動率を見れば、住宅地1.4%(昨年4.0%)・商業地3.3%(昨年10.4%)・全用途1.7%(昨年5.1%)といずれも昨年より上昇度が縮小しています。
現に東京圏だけに注目してみても都心の一部では、品川区や港区などでは住宅地の、渋谷区では住宅地・商業地の変動率が下落しているなど「ミニバブル」の反動が出ているといえるでしょう。
地方に目を向けても、三大都市圏と同じように不動産投資が活発であった札幌や仙台などの地方中核都市でも下落幅は拡大しています。
埼玉県の基準地価について今年は857地点で行われました。埼玉県の基準地価変動率は、住宅地0.9%(昨年1.7%)・商業地1.7%(昨年2.6%)と上昇は続いているものの上昇幅は縮小しました。
今までの地価上昇は都心から確実に波及してきていました。上昇の鈍化も同じく都心の「ミニバブル」の崩壊が影響しています。
これを裏付けるように埼玉県発表の資料に拠れば、「19年の基準地価」・「20年1月の公示地価」・「今年の基準地価」を比較できる県内70地点で、19年基準地価から20年の公示地価では変動率上昇地点が51地点から61地点に増加していたのに、平成20年の公示地価から平成20年の基準地価の比較では上昇地点はわずか2地点だけとなり、逆に下落地点が34地点となってしまいました。
市町村調査地点別に見れば、八潮市内や越谷市内・さいたま市内などの県南の調査地点でも下落地点は出てきており、確実に地価上昇は鈍化しているといえるでしょう。
最後に・・・変動率上昇が県内最高市町村は住宅地が蕨市(5.8%)・商業地が川口市(7.3%)、地点別では住宅地が川口市西青木1丁目(8.7%)・商業地が川口市栄町3丁目(18.4%)でした。南北格差は相変わらずと言えるでしょう。
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