9月16日、平成27年分の基準地価(平成27年7月1日時点の地価)が国土交通省より公表されました。
基準地価(都道府県地価調査)とは毎年7月1日時点での地価を都道府県が調査し国土交通省が発表する、1平方メートル当りの価格の事です。 公示地価(国土交通省)・路線価(国税庁)と共に土地取引の目安になっています。 本年は全国の住宅地・商業地等の21,224地点と林地507地点が調査対象となりました。 ただし、福島県内の原発に近い避難指示区域内の31地点では、引き続き調査を休止しています。
今年の基準地価の全国平均変動率について、住宅地は平成4年より24年連続下落で下落率1.0%(前年下落率1.2%)、 商業地は8年連続下落で下落率0.5%(前年下落率1.1%)となりましたが、ともに下落率は縮小しています。今年の傾向として 三大都市圏の地価上昇が地方の中核都市に波及したことが挙げられます。
三大都市圏の商業地の変動率は2.3%上昇し昨年の1.7%を上回りました。これは2008年のリーマンショック以来最大の上げ幅となります。
訪日外国人の観光需要増加や、リニア新幹線による経済効果が大きく寄与しています。 金融緩和マネーによる投資と緩やかな景気回復基調も見逃せません。実際に名古屋市中村区ではこれらの要因により商業地の上昇率 45.7%で全国一位となりました。東京圏などでは報道でよく言われる「爆買」に象徴されるように訪日外国人向けの店舗需要が顕著です。
ただ、その一方でミニバブルの懸念も出ています。都心部の新築マンションでは金融緩和マネーによる国内外の投資家による投資の影響で適正な分譲価格よりも 割高な取引が行われているようです。
地方圏では、下落幅が縮小しているものの全用途で下落率1.5%と依然としてマイナスであり、全体の75%ぐらいの地点で下落しています。
しかし、地方中核都市には勢いがあります。金沢では北陸新幹線・訪日外国人・利便性向上により住宅地の上昇率が16.8%で全国一位であり、商業地は昨年の 全国一位から転落したものの25.4%の上昇率を見せています。他にも札幌・仙台・福岡などは住宅地・商業地の地価上昇率が三大都市圏を上回る程です。
東日本大震災の被災地を見てみましょう。福島県いわき市では福島第一原発事故に伴う移転需要により7.6%の地価上昇率となりました。福島県全体でも2.0%の 上昇となり昨年よりも上げ幅が増加しています。その一方で岩手・宮城では住宅の高台移転などの需要が落ち着き上昇傾向が鈍化した様です。
福島県の商業地では、復興事業に関わる業者の事務所需要などで0.3%の地価上昇となり、23年ぶりに下落から脱しました。
埼玉県の基準地価について今年は63市町村775地点で行われました。平均変動は商業地が0.2%増で2年連続の上昇となる一方、住宅地では 0.2%の減少となり再び下落に転じました。住宅地の下落の要因は消費税増税による駆け込み需要の反動と見られています。
市町村別の商業地・住宅地の上昇率が本県で一番大きかったのはさいたま市大宮区で、上野東京ラインによる利便性向上やさいたま新都心の商業地開発などが 貢献しているようです。
今までと同様、利便性の高い県南部が地価上昇をけん引し、北部などは下落傾向が続いており南北格差が続いております。
住宅地最高価格は浦和区岸町3丁目で394,000円(前年386,000円、上昇率2.1%)で、商業地最高価格は 27年連続でさいたま市大宮区桜木町2丁目で182万円(前年172万円、上昇率5.8%)でした。
住宅地上昇率1位はさいたま市大宮区天沼町2丁目で4.0%(価格286,000円)、商業地上昇率1位は前述のさいたま市大宮区桜木町2丁目でした。
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