3月22日、国土交通省より平成24年の公示地価が発表になりました。公示地価とは、地価公示法に基づき国土交通省に設置された土地鑑定委員会により判定された、 1月1日現在の土地の1平方メートル当たりの価格をいいます。毎年3月下旬頃、住宅地・商業地など用途別の地価が発表されています。 この価格は、土地取引や資産評価をするに当たり客観的な目安となる指標である他、公共事業用地取得価格の算定の基準となっています。
地価の算定に当たり、本年の調査対象となった土地は26,000地点で、評価方法としては土地本来の価値を示すため、更地とみなしての評価となっています。
平成24年における商業地・住宅地の公示地価の全国平均は、4年連続で下落しました。本年の住宅地の下落率は2.3%(前年2.7%)、商業地の下落率は3.1%(前年3.8%)となっており 前年よりも下落率は縮小しています。また、前年と比較可能な調査地点は25,494地点ありましたが、地価が上昇した地点は546地点(前年193地点)、横ばいは1,849地点(前年1,082地点)でいずれも前年を上回っています。 この事で平成20年のリーマンショックによる下落傾向に底打ち感が出てきていると見方があるようです。
また、その内容を見ていくとくっきりと東日本大震災の影響が色濃く醸し出されています。
住宅地では、都市部で利便性のある駅徒歩圏が人気で、安全性を考慮しつつマンション等を購入する動きがあります。都市部近郊でも、東京の多摩地区や武蔵野市など津波の影響を受けにくい地域 に需要があります。首都圏マンションの契約率は、好調の目安とされる70%程度で住宅ローン減税や住宅エコポイントなどの政策の住宅需要喚起効果も相まって底堅く地価の改善傾向が見られます。 一方で、震災の影響で液状化現象が起きた千葉県浦安市や埼玉県久喜市などでは下落幅が拡大しました。
被災地ではもっと震災の影響が顕著です。沿岸部の住宅地では、10%以上も下落した地点が目立ちましたが、津波の浸水を免れた高台住宅の需要が急激に高まりました。 実際に全国住宅地の上昇率上位10地点の内9点が宮城県であり、特に宮城県石巻市須江では上昇率60.7%と地価が急騰しました。福島県では下げ幅が全国で最も広がり、特に原発事故の影響で 郡山市や南相馬市などは8%程度の大きな下落を示しました。この様に被災地では極度の二極化が進んでおり、被災者の住宅再建に大きな影を落とす可能性が指摘されています。
三大都市圏について名古屋圏・大阪圏が東京圏に比べ、一層下落率が縮小しています。商業地について、大阪圏は東京圏を上回る回復傾向を見せております。 これは震災・原発事故の影響で企業がデータセンターや本社を関西方面に移す動きを反映しており、地価の「西高東低」という特徴が出ています。
埼玉県では1,317地点で調査が行われましたが、本年は住宅地の平均価格が126,000円(前年比2.3%下落)・商業地は296,100円(前年比2.6%下落)となっております。共に4年連続の下落で下落率は前年並みとりました。
昨年と比較できる1,308地点のうち、横ばいはさいたま市浦和区東岸町だけで、他は全ての地点で下落しました。住宅地では県南及び県北で下落率は小さく、いずれも駅徒歩圏で利便性が高い地域が堅調で、高齢化が進む地域やバス通勤などの駅から 遠い郊外地域は下落率拡大と、「駅近」と「郊外」で二極化になっていると言えます。また、震災の影響で液状化が起きた久喜市では下落率が拡大しました。
商業地では、県西部を中心に下落していますが、県南では下落率が縮小しています。全体的には不動産投資の資金流入の減少や個人商店の衰退などで住宅地よりも下落幅が大きくなりました。
埼玉県内の最高公示価格は、住宅地:川口市幸町1-3-24で495,000円/平方メートル(初)、商業地:さいたま市大宮区桜木町1丁目で2,090,000円/平方メートル(昨年1位、下落率1.4%)でした。
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