3月22日、国土交通省より平成28年の公示地価が発表になりました。公示地価とは、地価公示法に基づき国土交通省に設置された土地鑑定委員会により判定された、 1月1日現在の土地の1平方メートル当たりの価格を言います。毎年3月下旬頃、住宅地・商業地など用途別の地価が発表されています。 この価格は、土地取引や資産評価をするに当たり客観的な目安となる指標である他、公共事業用地取得価格の算定の基準となっています。
地価の算定に当たり、本年の調査対象となった土地は25,270地点で、評価方法としては土地本来の価値を示すため、更地とみなしての評価となっています。 但し、上記調査地点の内、福島県内の調査地点で福島第一原子力発電所の事故で立ち入りが制限されている避難指示区域内の15地点については引き続き調査を休止しています。
本年の公示地価の前年比変動率は、全国平均で住宅地が前年比0.2%下落(前年0.4%下落)でした。8年連続で下落はしているものの下げ幅は縮小しました。 一方で商業地は0.9%(前年横ばい)となりリーマンショック以来8年ぶりに上昇に転じました。土地デフレが終息したとのの向きが大勢を占めるようです。
商業地の地価上昇の要因は、訪日客の増加により、商業地域のホテル・商業施設の収益改善、テナント賃料上昇及び施設不足による再開発などがあります。新幹線開通効果で集客力のある観光地での 賑わいや銀座や心斎橋などのいわゆる「爆買い」はニュースでもよく見る光景です。また、景気回復及び円安基調により投資マネーがより国内外より流入している点も見逃せません。
住宅地では依然として下落ではありますが、商業地に引っ張られるようにじわじわと地価は回復傾向です。今や世界的なリゾート地の北海道のニセコは、 周辺で外資系ホテルの建設がラッシュですが、住宅地価の伸びも大きく、前年比19.7%上昇と全国首位の伸び率を記録しています。
地域別に見てみると、東京・大阪・名古屋の三大都市圏は住宅地・商業地ともに引き続き上昇しています。 地方圏の中核都市である札幌・仙台・広島・福岡では、住宅地・商業地ともに三大都市圏を上回る上昇を見せております。三大都市圏の地価上昇が確実に波及していると言えるでしょう。
しかし、その一方で秋田・鳥取や鹿児島では住宅地・商業地共に2%以上の下落を記録しており、波及効果は限定的で二極化がさらに加速しています。
今回の公示地価で日本一だったのは東京都中央区銀座4丁目で、1平方メートル当り4,010万円でしたが、リーマンショック直前の3,900万円を上回り、 公示地価として過去最高金額を記録しました。銀行の不動産融資もバブル期を超えて過去最高を記録しましたが、バブルを警戒する向きがそろそろ出始めています。
県内の公示地価は商業地0.7%、工業地が1.2%と共に3年連続で上昇する一方で住宅地は昨年に引き続き横ばいとなりました。住宅地の上昇基調が遅いのは昨年と同様に 消費増税の影響とみられています。
本年は1,263地点で調査が行われましたが、上昇地点は356地点(昨年377地点)でした。用途別に上昇地点を見ると、住宅地は昨年276地点でしたが今年は232地点に減少、 商業地は昨年83地点だったのが94地点に増加しています。
地域別に見てみれば、相変わらず利便性の高い南部に上昇地点が集まっています。上野東京ライン開通や浦和駅での新たな商業施設の開業、 武蔵浦和駅周辺では高層マンションの建設が相次ぐなど、利便性の向上が地価の上昇と確実に結びついています。実際に今回の公示地価で商業地上昇率10位の中で さいたま市が半分を占めた他、川口市や所沢など、住宅地上昇率10位の中ではすべてがさいたま市と南部地域の強さが際立っています。 その一方で人口減が続く秩父や県北では下落が進んでおり二極化の改善の兆しは見えません。
住宅地の最高価格は5年連続で川口市幸町の514,000円、上昇率最高はさいたま市南区鹿手袋4丁目で3.9%です。商業地は最高価格が25年連続でさいたま市大宮区桜木町1丁目で245万円、 上昇率最高はさいたま市大宮区仲町1丁目37番で5.3%となっております。
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