3月21日、国土交通省より平成29年の公示地価が発表になりました。公示地価とは、地価公示法に基づき国土交通省に設置された土地鑑定委員会により判定された、 1月1日現在の土地の1平方メートル当たりの価格を言います。毎年3月下旬頃、住宅地・商業地など用途別の地価が発表されています。 この価格は、土地取引や資産評価をするに当たり客観的な目安となる指標である他、公共事業用地取得価格の算定の基準となっています。
地価の算定に当たり、本年の調査対象となった土地は26,000地点で、評価方法としては土地本来の価値を示すため、更地とみなしての評価となっています。 但し、上記調査地点の内、福島県内の調査地点で福島第一原子力発電所の事故で立ち入りが制限されている避難指示区域内の12地点については引き続き調査を休止しています。
本年の公示地価の前年比変動率は、全国平均で住宅地が前年比0.0%の横ばい(前年0.2%下落)で9年ぶりに下落から抜け出しました。 一方、商業地は0.4%上昇(前年0.9%上昇)となり2年連続で上昇しています。
住宅地の地価は、低金利と住宅ローン減税の下支えにより再開発の進む都市部を中心に上昇傾向にあり、 利便性の高い地域(都市部)と不便な地域での地価(地方)の二極化が進んでいます。また、地方都市でも国土交通省が模索する コンパクトシティ(行政や商業、福祉機能を集約する都市)の影響から中心部に住居を求める人が多くなり、同じ地域でも二極化傾向があるようです。 地方圏(三大都市圏以外)の住宅地の地価は0.4%の下落で25年連続での下落となります。とはいえ、下落幅は縮んでおります。
商業地では、三大都市圏の上昇が鈍化しています。これは地価の高騰による収益性低下への懸念や円高基調による海外投資の減少が影響しているようです。 その一方で、地方の中核都市である地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)は以前として地価の伸びが顕著です。市街地での再開発や、投資マネーが旨味の減った都市部より 流れてきているのが要因です。
観光都市、或いはその近隣都市ではホテル需要などによる大規模投資で大幅な地価上昇を見せている地域もあります。例えば、大阪市中央区では41.3%と急激な上昇を記録しました。 大阪そのものが観光都市であるだけでなく京都や奈良など外国人に人気の観光地が周辺にあり、訪日観光客の増加が主因であると 言えるでしょう。
今回の公示地価で日本一だったのは11年連続で東京都中央区銀座4丁目で、1平方メートル当り5,050万円(前年比25.9%増)でした。 この価格はバブル期の最高値を3割ほど上回った額で、都市部の地価にバブルの懸念が出ています。
住宅地 | |||||||
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公示地価年次 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
全国 | -2.7 | -2.3 | -1.6 | -0.6 | -0.4 | -0.2 | 0.0 |
三大都市圏 | -1.8 | -1.3 | -0.6 | 0.5 | 0.4 | 0.5 | 0.5 |
地方圏 | -3.6 | -3.3 | -2.5 | -1.5 | -1.1 | -0.7 | -0.4 |
商業地 | |||||||
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公示地価年次 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
全国 | -3.8 | -3.1 | -2.1 | -0.5 | 0.0 | 0.9 | 1.4 |
三大都市圏 | -2.5 | -1.6 | -0.5 | 1.6 | 1.8 | 2.9 | 3.3 |
地方圏 | -4.8 | -4.3 | -3.3 | -2.1 | -1.4 | -0.5 | -0.1 |
県内の公示地価は住宅地が0.1%上昇と3年ぶりのプラスとなり、商業地は0.8%、工業地は2.3%と4年連続の上昇となりました。 なお、本年は1,301地点で調査が行われましたが、上昇地点は436地点(昨年356地点)、下落地点は352地点(昨年330地点)でした。
利便性の高い南部に上昇地点が集まっていますが、その一方で人口減が続く秩父や県北では下落が進んでおり、今まで同様、二極化は変わっておりません。南部の浦和や 川口などはマンション開発が旺盛で、「利便性に富んでいるのに都内に比べて割安感がある」事で人気が集中しています。
本年の大きな特徴として工業地の上昇を挙げずにはいられません。圏央道の開通により物流需要が高まりインターチェンジ付近の工場適地は価格が大きく上昇しました。実際に入間インターチェンジ 付近の入間市宮寺では10.3%の上昇を記録し工業地の地価として全国1位の上昇率です。また今回調査した埼玉県の工業地は40地点ですが、2年連続で下落した地点はなく、31地点で上昇を記録してます。
住宅地の最高価格はさいたま市浦和区高砂2丁目の88万円、上昇率最高はさいたま市浦和区岸町3丁目で4.0%です。なお、さいたま市浦和区高砂2丁目はマンション価格動向調査の 為に新規に設置された調査地点なので金額が突出しています。商業地は最高価格が26年連続でさいたま市大宮区桜木町1丁目で261万円、上昇率最高はこのさいたま市大宮区桜木町1丁目とさいたま市浦和区仲町1丁目で6.5%となっております。
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