3月27日、国土交通省より平成30年の公示地価が発表になりました。公示地価とは、地価公示法に基づき国土交通省に設置された土地鑑定委員会により判定された、 1月1日現在の土地の1平方メートル当たりの価格を言います。毎年3月下旬頃、住宅地・商業地など用途別の地価が発表されています。 この価格は、土地取引や資産評価をするに当たり客観的な目安となる指標である他、公共事業用地取得価格の算定の基準となっています。
地価の算定に当たり、本年の調査対象となった土地は約26,000地点で、評価方法としては土地本来の価値を示すため、更地とみなしての評価となっています。 但し、上記調査地点の内、福島県内の調査地点で福島第一原子力発電所の事故で立ち入りが制限されている避難指示区域内の12地点については引き続き調査を休止しています。
まずは住宅地の公示地価の変動率について。本年の全国平均は前年に比べ0.3%上昇(昨年はほぼ横ばい)となりました。 三大都市圏(東京・名古屋・大阪)では変動率が三都市全てで上昇(昨年は大阪がほぼ横ばい)。地方圏では地方中核四都市(札幌・仙台・広島・福岡)が三大都市圏を凌ぐ 上昇率3.3%を記録する一方で、地方圏全体では0.1%の下落となりました。もっとも下落幅は前年に比べ縮小しています。
商業地の変動率は全国平均で1.9%上昇するのは3年連続で昨年より上昇幅が拡大しました。三大都市圏も引き続き上昇しました。地方圏では0.5%上昇となり 26年ぶりに上昇に転じました。特に地方中核四都市では7.9%上昇と高い上昇率となりました。
今回、全国約26,000調査地点の内、上昇地点は41%、下落地点38%と10年ぶりに上昇地点数が下落地点数を上回りました。都市部に始まった地価上昇が地方にも確実にゆっくりと波及しているという事でしょうか。
これらの背景には、雇用改善による利便性の高い地域に居住需要が高まっていること、インバウンド増加に伴い宿泊施設・商業施設需要が外国人に人気の観光地で高まっていること、オフィス需要が高まり都市部で空室率が低下 していること、そして低金利政策がそれら投資他を下支えしていることが挙げられます。
実際に都心では新築マンションの価格が高止まりし、いまやスキーの外国人観光客で有名な北海道倶知安町が住宅地・商業地の上昇率全国1位を記録、都道府県別では京都府が商業地の全国1位の上昇率など顕著にこれらを物語っていると 言えるのではないでしょうか。
バブル期には全面的な地価上昇という感じでありましたが、今の地価上昇は立地条件(利便性・観光人気など)により地価上昇が起きているという印象です。バブル期と違い、ある程度実需をともなっていると言えるかも知れません。
県内の公示地価は住宅地が0.5%上昇と2年連続の上昇、商業地は1.2%、工業地は3.0%と5年連続の上昇となりました。 なお、本年は1,301地点で調査が行われましたが、上昇地点は569地点(昨年436地点)、下落地点は319地点(昨年352地点)でした。
住宅地は変わらず県南部に顕著な上昇が見られますが、昨年とは少し様相が変わり、従来のさいたま市や川口市の他に東京都に隣接している和光市や草加市も上昇率上位に入って来ています。都内の割高感から、すぐ北側の県内市町村に 人が流れ始めているのが要因と言えそうです。県北部や秩父地域では下落幅が縮小しているものの変わらず下落となりました。二極化は依然変わらないようです。
先ごろ報道されたように、大手住宅情報サイトが発表した住みたい街ランキングに大宮や浦和が上位に入りました。これからまだ大宮や浦和でも地価上昇があるかも知れません。
ただ、利便性が高い浦和を見ても、中心となる浦和駅から1.5キロメートルを過ぎる地域では地価上昇が緩やかである様です。狭い範囲の中でも利便性により色分けがされている感じがします。
商業地については浦和駅や大宮駅周辺で根強い賃貸需要や投資意欲が盛んになっています。大宮駅周辺は東日本や北陸地域の玄関口として拠点(支店)を置く企業が多いことが賃貸需要につながっています。
工業地は住宅地同様、昨年と少し様相が変わりました。昨年は圏央道周辺が高い上昇率を示しましたが、本年の圏央道周辺は堅調な需要があるものの上昇率は縮小しました。代わりに国道16号線や外環自動車道周辺に需要が 高まりました。これは消費地に隣接し人員確保に便利な都内近郊に人気が移ってきていると言えるでしょう。
住宅地の最高価格はさいたま市浦和区高砂2丁目の91.3万円、上昇率最高は川口市小谷場で10.2%です。 商業地は最高価格が27年連続でさいたま市大宮区桜木町1丁目で282万円、上昇率最高もこの地点で8.0%となっております。
※上記ページには、PDF形式のファイルが含まれている箇所があります。PDF形式をご覧になるにはAdobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、 ここからダウンロードしてください。
戻る大山税理士事務所
〒330-0061 埼玉県さいたま市浦和区常盤4-4-13電話048-832-5055 /FAX048-824-1797
Copyright(C)2006 大山税理士事務所.All Rights Reserved.