3月19日、国土交通省より平成31年の公示地価が発表になりました。公示地価とは、地価公示法に基づき国土交通省に設置された土地鑑定委員会により判定された、 1月1日現在の土地の1平方メートル当たりの価格を言います。毎年3月下旬頃、住宅地・商業地・工業地など用途別の地価が発表されています。 この価格は、土地取引や資産評価をするに当たり客観的な目安となる指標である他、公共事業用地取得価格の算定の基準となっています。
地価の算定に当たり、本年の調査対象となった土地は26,000地点で、評価方法としては土地本来の価値を示すため、更地とみなしての評価となっています。 但し、福島県内の調査地点で福島第一原子力発電所の事故の影響がある7地点について調査を休止しています。
本年の公示地価は全用途平均において上昇率が1.2%と4年連続で上昇し、上昇幅も3年連続の拡大で上昇基調が鮮明となりました。 地価は1991年のバブルピーク時の4割程度まで回復しています。 住宅地平均は上昇率が0.6%(前年0.3%)、商業地平均が2.8%(前年1.9%)と上昇幅はいずれも前年を上回ります。
住宅地ついては、地方圏(全国から三大都市圏を抜いたもの)平均が27年ぶりに上昇に転じ上昇率0.4%となりました。大都市を中心とした地価上昇が地方にも波及していると言えます。 低金利政策と企業の業績改善による賃上げが住宅取得意欲を向上させ、 地方中核都市(札幌・仙台・広島・福岡)を中心にマンション建設や市街地再開発が進み、地価上昇を支えています。
商業地については、三大都市圏(東京・名古屋・大阪)での変わらず順調な伸び幅拡大と共に目立つのは、地方中核都市の上昇率が9.4%となり住宅地と同様に三大都市圏を上回っていることです。 昨年3,000万人を超えたインバウンドによる店舗・宿泊施設需要や、企業が働き方改革に呼応する様に労働環境改善として社員の共用スペース設置や複数の事業者でのシェアオフィス設置などの更なるオフィス需要が後押しをしています。
国交省は「底堅い実需が地価上昇を牽引している」と見ていますが、都心の一部などではマンション販売価格の高止まりによる需要の減退の傾向が出ていることや、東京都・京都府・沖縄県などの商業地の地価は既にリーマンショック前の水準を 超えていることから、都心の一部では上昇率が縮小しミニバブルの懸念が生じるなど、不安材料も存在しています。
また、地方圏では駅から遠い地域などの人口減少が続く場所では依然として地価は減少傾向にあります。実際に地方圏の調査地点の約半数はマイナスです。二極化の幅が広がっているのも注視する点ではないでしょうか。
県内の公示地価は住宅地が0.7%上昇で3年連続の上昇、商業地は1.6%、工業地は3.0%と共に6年連続の上昇となりました。 なお、本年は1,301地点(住宅地1032地点・商業地222地点・工業地44地点)で調査が行われましたが、その内の継続調査1020地点では上昇が620地点(昨年569地点)、下落が281地点(昨年319地点)となりました。
住宅地は変わらず県南部に顕著な上昇が見られ、昨年と同様に従来のさいたま市や川口市の他、東京都に隣接している和光市・朝霞市や志木市も上昇率上位に入って来ています。 県北部や秩父地域では下落幅が縮小しているものの変わらず下落となりましたが熊谷市や深谷市では横ばいに転じています。依然として二極化は変わらず、むしろ差は拡がっています。
商業地について、本県の上昇率は全国平均より低いものの、JR大宮駅や浦和駅周辺では堅調なオフィス・店舗需要があります。また、住宅地と同様に和光市や志木市も上昇率上位に入って来ています。 利便性の高い通勤圏で住民が増え、それに伴う店舗需要が高まるという好循環が要因の一つと言えそうです。
一昨年辺りから大手住宅情報サイトが公表した「住みたい街ランキング」に大宮と浦和がベスト10にラインクインしている様に、埼玉県南部の大宮・浦和が人気のエリアとなっています。 都内のマンション価格が高止まりしており、都心に近くそれよりも安価な埼玉県南部の地価は堅調に維持できると見られています。
工業地は継続調査地点の全43点で下落地点はなく、39地点で上昇しました。引き続き、昨年の傾向が強まった感じで、外環道沿いが特に上昇しています。
住宅地の最高価格はさいたま市浦和区高砂2丁目の94.9万円、上昇率最高はさいたま市浦和区岸町3丁目で6.2%です。 商業地は最高価格が28年連続でさいたま市大宮区桜木町1丁目で308万円、上昇率最高地点はさいたま市浦和区高砂2丁目で10.3%となっております。
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