3月22日、国土交通省より平成19年の公示地価が発表になりました。公示地価とは、地価公示法に基づき国土交通省に設置された土地鑑定委員会により算定された、1月1日現在の土地の1平方メートル当たりの価格をいいます。毎年3月下旬頃、住宅地・商業地など用途別の地価が発表されおります。 この価格は、土地取引や資産評価をするに当たり客観的な目安となる指標である他、公共事業用地取得価格の算定の基準となっています。
地価の算定に当たり、調査対象となる土地は1461市区町村の合計30,000地点、また、評価方法としては土地本来の価値を示すため、更地としての地価となっております。
今年の全国平均の変動率は、住宅地0.1%(昨年-2.7%)・商業地2.3%(前年-2.7%)・全用途で0.4%(前年-2.8%)と1991年以来16年ぶりに上昇に転じました。特に三大都市圏の東京圏・大阪圏・名古屋圏では、昨年上昇に転じた商業地は、東京圏9.4%(前年1.0%)・大阪圏8.3%(前年0.8%)・名古屋圏7.8%(前年0.9%)と順調な伸びを示しております。 地方ブロック中核都市である仙台・福岡・札幌なども地域全体の平均が上がっており、これらが全国平均を押し上げたようです。
その一方で、地方圏全体の平均は2.8%の下落で特に島根・香川・高知・鹿児島の住宅地では、昨年よりも下落率が拡大しています。変動率上昇地域の割合を見れば、住宅地37.7%・商業地43.1%と、いずれも過半数が下落しており、全国的に二極化傾向が進んでいるといえます。
また、印象的な現象として、地方ブロック圏内でも中核都市に人口が流入その郊外では変動率が下落傾向という、プチ二極化も進んでいるようです。
三大都市圏や地方ブロック中核都市で、上昇している理由として、土地の価値評価が所有性から収益性に転化したこと・規制緩和によるオフィスビル等建設促進・企業業績良化による過剰債務の解決や拠点拡充・海外投資家による投資などが挙げられております。
埼玉県内住宅地・商業地の公示地価の変動率は、日本全国平均の動向と同じく、1991年以来16年ぶりに上昇に転じました。
住宅地の公示地価変動率を見れば、昨年上昇傾向の市町村は6つしかありませんでしたが、今年は34(県内市町村の約半数近く)まで増加し、県内平均上昇率は0.7%(昨年-1.7%)となりました。特にさいたま市が、県内住宅地変動率ランキング上位10位以内に9つが入る状況を見れば、都心に近い県南に勢いがあると言えます。
一方商業地公示地価変動率は、平均1.9%(昨年-1.8%)、1位は川口市栄町3丁目で14.7%であり川口市は変動率上位10位内に6つがランクイン、住宅地と同様商業地も県南に勢いがあると言えそうです。
他にもつくばエキスプレス開通の影響で八潮市などは上昇傾向にあります。
このようにさいたま市・川口市を中心とした県南部など東京通勤圏内で上昇傾向にある一方、県北部では未だ下落傾向にあり南高北低の二極化が進んでいます。ただ、この県北部も下落幅自体は縮小傾向にあり、地価の下げ止まり感は出てきていると言えるでしょう。
埼玉県の最高公示地価は、住宅地:さいたま市浦和区岸町3丁目の348,000円/平方メートル、商業地:さいたま市大宮区桜木町1丁目の216,000円/平方メートルです。
昨年の「路線価」(8月1日国税庁発表)及び昨年の基準地価(9月19日国交省発表)と比較してみましょう。
各種地価 | 全国平均 | 埼玉県内平均 | |||
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平均変動率 | 平均価格 | 平均変動率 | 平均価格 | ||
18年路線価 | +0.9% ↑(-3.4%) | 11万4千円 | -0.9% ↓(-3.6%) | 10万5千円 | |
18年基準地価 | 住宅地 | -2.3% ↓(-3.8%) | 5万6千500円 | -0.9% ↓(-3.0%) | 11万6千900円 |
商業地 | -2.1% ↓(-5.0%) | 14万8千800円 | -0.7% ↓(-3.8%) | 25万4千円 | |
19年公示地価 | 住宅地 | +0.1% ↑(-2.7%) | +0.7% ↑(-1.7%) | 13万5千円 | |
商業地 | +2.3% ↑(-2.7%) | +1.9% ↑(-1.8%) | 30万6千900円 | ||
※基準地価の全国平均価格は、国土交通省では算出していないので、47都道府県の平均価格より算出、公示地価に関しては空欄としました。 ※()内は前年分。 |
路線価の平均算出方法だけは、地価の高い大都市の影響を受けやすい「加重平均法」を使用しています。先行して路線価全国平均変動率が上昇していたということは、三大都市圏などの大都市と地方の二極化を、端的に示しているとこの表からでも読み取れます。
また、いずれの変動率も前年に比べ良化している事から確実に資産デフレの傾向を脱しつつあるといえます。
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