大山税理士事務所

税務情報

2021年 公示地価公表

公示地価とは・・・

3月24日、国土交通省より2021年の公示地価が発表になりました。公示地価とは、地価公示法に基づき国土交通省に設置された土地鑑定委員会により判定された、 1月1日現在の土地の1平方メートル当たりの価格を言います。毎年3月下旬頃、住宅地・商業地・工業地など用途別の地価が発表されています。 この価格は、土地取引や資産評価をするに当たり客観的な目安となる指標である他、公共事業用地取得価格の算定の基準となっています。

地価の算定に当たり、本年の調査対象となった土地は26,000地点で、評価方法としては土地本来の価値を示すため、更地とみなしての評価となっています。 但し、福島県内の調査地点で福島第一原子力発電所の事故の影響がある7地点について引き続き調査を休止しています。

今年の公示地価の動向

今年は全用途平均において対前年比でマイナス0.5％と6年ぶりに下落しました。地価をけん引してきた三大都市圏でもマイナス0.7％と8年ぶりに下落に転じました。全国26,000調査地点の内、約57％の14,959点が下落です。 下落傾向は住宅地よりも商業地、地方圏よりも3大都市圏の方が大きくなりました。

下落の理由は言わずもがな、新型コロナウイルス流行の影響です。外出自粛やインバウンド客の減少により、小売店・飲食店・宿泊施設の利用減少が下落圧力となりました。 ただ、リーマンショックや東日本大震災の時に比べれば下落幅は小さくなっています。金融緩和政策よる「金余り」で資金が流入しやすくなっていることや経済政策が功を奏しているのかもしれません。

商業地は前年比マイナス0.8％と7年ぶりの下落です。特に大阪では下落が大きく三大都市圏の中でも都道府県別でも最大の下落幅となっています。前述の様にインバウンド客の激減や外食・旅行の自粛で、観光地や商業施設の多かった地域が大きく打撃を 受けた格好です。一方でオフィス街が主である都心などでは、もちろん下落はしているもの観光地や繁華街に比べると緩やかです。ただ、賃貸物件の空室率は徐々に上昇しており先行き不透明です。

住宅地は前年比マイナス0.4％で5年ぶりの下落となりました。雇用環境の悪化から住宅購入意欲が弱まったことが要因といえそうです。 しかしながら、このコロナ禍での在宅ワークの広がりが都心から離れた住宅需要を喚起しているようです。都心に近い埼玉・千葉・神奈川などの都に隣接する一部地域では上昇が続きました。また、2拠点居住を指向する 傾向もあるようで軽井沢や熱海などでも地価が上昇しました。

工業地は地価が上昇しています。前年比0.8％上昇で6年連続の増加傾向です。自粛による巣ごもり需要でインターネットショッピングが拡大し物流拠点の建設・増設が地価上昇をけん引しています。

地方四都市（札幌、仙台、広島、福岡）では商業だけでなく全用途でも上昇幅は縮小したものの前年に比して上昇となっています。周辺地域からの人口流入やそれを見込んだ再開発が好影響といえそうです。 コロナ禍のインバウンド減少などの影響が些少であったといえるでしょう。他方、4都市以外の地方圏では再び地価下落に転じています。

埼玉県の公示地価の動向

県内の公示地価は住宅地がマイナス1.0％（前年上昇1.0％）、商業地はマイナス0.9％（前年上昇2.0％）で共に8年ぶりの下落、工業地は上昇率1.6％（前年3.0％）と8年連続の上昇となりました。 なお、本年は1,301地点（住宅地1033地点・商業地222地点・工業地44地点・他2地点）で調査が行われましたが、 その内の継続調査1295地点では上昇が95地点（昨年646地点）、下落が974地点（昨年281地点）となり様相が一変しました。

住宅地は東京に隣接している川口市内の調査地点が、上昇率上位10地点の内9地点を占めています。大型ショッピングセンターの存在や都内からの近さなど総合的な利便性の高さが需要を支えているようです。 市町村別にみても利便性の高い戸田市、蕨市、そして川口市の3つが地価上昇しています。

埼玉県では昨年4月から10月における転入超過の人数が全国1位となりました。前述にもあった在宅ワークによる都心離れで、利便性と手ごろ感を備えた川口市などに人気があると言えそうです。

商業地は繁華街で打撃が大きく、さいたま市大宮区仲町では昨年の6.7％上昇から本年マイナス5.6％と12.3ポイントも下げました。同地ではテナントの撤退や賃料の値下げが起きているようです。商業地で上昇したのはわずか7地点（昨年130地点）と 大幅な減少には驚きを禁じ得ません。

工業地は全国的な傾向と同様ネット通販需要による物流倉庫需要で上昇傾向です。

住宅地の最高地価はさいたま市浦和区高砂2丁目の979,000円（前年比横ばい）、商業地は30年連続でさいたま市大宮区桜木町1丁目の3,480,000円（前年比横ばい）となりました。

公示地価に関するリンク

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