大山税理士事務所

平成30年路線価

国税庁は7月2日、相続税や贈与税の算定基準となる平成30年分の路線価(平成30年1月1日現在)を公表しました。 路線価は土地の評価の基準となる価格の一つで、主要道路に面した1平方メートル当りの土地の評価額です。 毎年1月1日を評価時点としており、調査地点は標準宅地で全国約32万4千ヶ所となっています。

国土交通省が公表する公示地価(毎年3月下旬発表、1月1日現在の地価)のおよそ8割を目安に、実際の売買事例などを加味して国税庁が算定します。

公示地価の調査地点よりも格段に多い地点で算定されており、また、相続税や贈与税などの算定基準となるので注目を浴びています。

全国の路線価

平成30年分の路線価(標準宅地)は平均変動率が前年比0.7%増加となり3年連続の上昇となりました。

都道府県別に変動率を見れば、今年は5県増え18都道府県で路線価が上昇しています。首都圏では東京・千葉・神奈川・埼玉が5年連続で上昇と好調です。 最高上昇率は沖縄県の5.0%で、アジア系訪日客増加に伴うホテル・リゾート開発がその原動力となりました。

また、都道府県庁所在地別に見ると、上昇都市は33市で前年よりも6市増え、下落したのは茨城県水戸市の1ヶ所だけとなりました。少しずつですが全国に地価上昇が広がっていると言えるのではないでしょうか。

地価上昇の主要因としては、変わらずインバウンド増加を見込んだホテル・商業施設の再開発需要、利便性の高い大都市でのオフィス需要、そしてそれらに伴う不動産投資となります。

外国人訪日客が多い都市では急激な上昇率を示します。例えば北海道ニセコ地区にある倶知安町は前年比88.2%で全国1位の上昇率を記録しています。バブル期にJR横浜駅西口バスターミナルが91.1%を記録しましたがそれに匹敵する伸びです。 他にも京都府の繁華街である祇園にある祇園四条駅周辺では上昇率25.9%で全国2位の上昇率、沖縄県国際通りでは10年連続で外国人訪日客数が過去最高を更新し路線価上昇率が10.4%となりました。

東京都の銀座ではインバウンド増加で複合商業施設やホテル建設が相次いでおり上昇率が9.9%となりました。 一方、同都内の千代田区丸の内ではオフィス需要により上昇率2.3%となっており、同じ都内ではあるけれども地価上昇要因としては インバウンド需要がビジネス需要を上回ったと言えるかもしれません。この様な傾向は大阪府などの大都市でも見られます。「インバウンド需要恐るべし」というところでしょうか。

以前から大都市と地方の二極化が言われていましたが、もっと狭い地域 ― 例えば同一県内 ― でも二極化が鮮明になって来ました。 例えば兵庫県では都道府県庁所在地別の最高路線価上昇率では今回全国1位にもかかわらず、県平均地価としては 前年比0.4%の下落となりました。有名観光都市「金沢」を有する石川県の他、奈良県などでも、都道府県庁所在地別の最高路線価が上昇しているにもかかわらず県平均地価は前年よりも下落しています。 同一県内でも利便性の高い中心地や観光地は上昇していますが、反対に交通の不便な地域や観光資源のない地域は過疎化が進み地価は下落傾向にあるという事を物語っています。

路線価日本一は33年連続で東京都中央区銀座の鳩居堂前で1平方メートル当たり4,432万円、前年比9.9%の上昇となりました。2年連続でバブル期の地価を超えています。

なお、平成30年1月1日現在において、原子力発電所の事故に関する「帰還困難区域」、「居住制限区域」及び「避難指示解除準備区域」に設定されていた区域内にある土地等については算定が困難だとして引き続き路線価を0にしています。

埼玉県の路線価

県内に15ある税務署管内の16,205地点(前年と比較できる地点は15,881地点)での調査結果が公表されました。昨年と比較できる継続調査地点の 路線価の平均変動率は0.7%の上昇で、5年連続の上昇となり上昇率も引き続き拡大しました。関東信越国税局管内6県で上昇したのは埼玉県だけです。

県内15税務署管轄内ごとの最高路線価を見ると、上昇地点は8ヶ所、横ばいは6ヶ所、そして下落は残念ながら本年も秩父税務署の1ヶ所でした。 数は昨年と変わりませんが、熊谷税務署が上昇から横ばい朝霞税務署が横ばいから上昇へ転じ中味は多少変わっています。

大宮駅周辺では変わらずオフィス需要は堅調です。大宮駅周辺は千葉市や横浜市など比較してオフィスビルの供給面積が少なく「供給>需要」という状態で地価が高くなる要因の一つとなっています。浦和駅周辺ではマンション建設が相次ぎ 浦和駅前西口ロータリーでは7.0%も上昇しました。都心から30キロ圏内くらいの朝霞・所沢・川口などの南部でも、浦和と同様に利便性が高く都内に比べ比較的地価が安い為ベッドタウンとしての人気の高まり地価が上昇しています。 所沢や川口でなど人口増加を見込んだ主要駅周辺では再開発が進んでいる事も地価上昇の一助となっています。

都心から離れている県北では少子高齢化なども加わり住宅需要は少なく、南部との差は広がるばかりで南北の二極化傾向は止まりません。

県内最高路線価は27年連続で「大宮駅西口駅前ロータリー」で1平方メートル当り330万円、前年比10.4%増であり、同地点は6年連続の上昇となりました。

路線価に関するリンク

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