国税庁は7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる2020年分の路線価(2020年1月1日現在)を公表しました。 路線価は土地の評価の基準となる価格の一つで、主要道路に面した1平方メートル当りの土地の評価額です。 毎年1月1日を評価時点としており、調査地点は標準宅地で全国約32万6千ヶ所となっています。
国土交通省が公表する公示地価(毎年3月下旬発表、1月1日現在の地価)のおよそ8割を目安に、実際の売買事例などを加味して国税庁が算定します。
公示地価の調査地点よりも格段に多い地点で算定されており、また、相続税や贈与税などの算定基準となるので注目を浴びています。
なお、今回の路線価評価額は新型コロナウイルス流行前の地価であり、その影響は加味されていません。
2020年分の路線価(標準宅地)は平均変動率が前年比1.6%増加(前年は1.3%増加)となり5年連続の上昇となりました。
変わらず都市部の再開発・オフィス需要とインバウンド効果により地価は上昇しています。都市部で上昇が続いている他、地方への波及も見られます。
都道府県別で見てみると、前年比で上昇したのは21都道府県(昨年19都道府県)で、本年は昨年の19都道府県に山形県と山口県が加わりました。 下落したのは29県となりましたが、その内の19県で昨年と比較し下げ幅が縮小しています。
上昇率トップは沖縄県10.5%で(昨年8.3%)、続いて東京都5.0%(昨年4.9%)となりました。首都圏の東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県では7年連続の上昇となっています。
更に都道府県庁所在地別に見てみると、前年比上昇は38都市(昨年33都市)、横ばい8都市です。水戸市が県庁所在地の中で唯一下落(マイナス2.2%)となってしまいました。
路線価最高地点は東京・銀座の鳩居堂前で1平方メートル当たり4,592万円で、35年連続の全国最高評価額です。ただ、周辺の再開発が一巡したこともありその上昇率は0.7%(昨年は2.9%)にとどまっています。
県内約15,914地点での調査結果が公表されました。昨年と比較できる継続調査地点の路線価の前年比変動率はプラス1.2%(昨年1.0%)で7年連続の上昇となり、上げ幅も引き続き拡大ししています。
県内15税務署管轄内ごとの最高路線価を見ると、上昇地点は8ヶ所(昨年10ヶ所)、横ばいは7ヶ所となり、昨年に続いて下落地点が0となりました。
引き続き、県南部の大宮・浦和・川口などが好調でこれらはそれぞれ8年、7年、6年連続でそれぞれ上昇しています。
県内最高路線価は29年連続で「大宮駅西口駅前ロータリー」で1平方メートル当り426万円、前年比15.1%増であり、同地点は7年連続の上昇となりました。なお、同所は上昇率でも県内1位となっています。
冒頭にも記した通り、路線価は「1月1日現在」の評価額であるので、今回の新型コロナウイルス流布による大きな経済的影響は反映されていません。 ご存知の通り、緊急事態宣言前後から、経済活動は停滞し訪日外国人旅行者の数は激減しています。例えば5月の訪日外国人数は99.9%減の1,700人でした。
この様な状況下で、地価上昇圧力は無いに等しく今後大幅な下落が見込まれます。実際に国土交通省が行った4月1日時点の地価調査ではインバウンド需要が旺盛な沖縄県でも横ばいや下落に転じる動きが確認されています
なお、国税庁は9月公表予定の基準地価と比較し大幅な下落が確認された場合、路線価評価額を減じる補正措置を検討・示唆しています。
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