国税庁は8月1日、相続税や贈与税の算定基準となる平成19年分の路線価(平成19年1月1日現在)を公表しました。路線価は土地の評価の基準となる価格の一つで、1平方メートル当りの道路の値段です。毎年1月1日を評価時点としており、調査地点は全国約41万ヶ所となっています。
平成19年分の平均路線価は、前年比8.6%増(価格にして10,000円)の12万6,000円となり、昨年に引き続き2年連続の価格上昇となりました。
昨年の路線価が三大都市圏(東京・名古屋・大阪)で上昇していたのに対して、本年は三大都市圏に加え、新たに北海道・宮城・神奈川・埼玉・福岡などの地方中核都市を含む7都道府県で上昇しました。昨年三大都市圏で始まった路線価上昇が一部地方へ波及していると言えるでしょう。
その一方で、31の県では依然として下落傾向が続いています。ただこの内26の県は下落率が縮小傾向ではあります。いずれにしろ大都市圏と地方の格差は鮮明になっており、その差は拡大傾向にあります。バブル期には全国的に地価が高騰しましたが、現在の土地価値評価が投資を背景とした土地の収益性に着目するために大都市などに投資マネーが集中し、その結果地価の二極化はますます進む傾向にあります。
ところでこの路線価は、国土交通省が3月に発表する公示地価の約8割を目安に算出されます。今年3月22日に発表になった公示地価の全国前年比平均は0.4%増でした。上記の路線価の前年比8.6%とは大きな開きがあります。これは両者の前年比平均の算出方法に違いがあるためです。公示地価の前年比平均は、各調査地点の比率を単純に平均するのに対して、路線価の前年比平均では、全国の地価を合計した上で前年と比べて算出する、いわゆる加重平均法を用いて算出します。従って、路線価の平均変動率は伸び率の高い大都市の影響を大きく受けます。
埼玉県内約1万9,000調査地点の標準住宅の平均路線価は、前年比1.8%増(価格にして2,000円)の11万8,000円となり、現行の調査方式になった平成4年以降初めて上昇に転じました。
県内15の税務署別に見てみれば、前年比率が上昇しているのは昨年の川口・西川口・大宮・浦和・朝霞に加え、川越・所沢・春日部が加わり8ヶ所になりました。また前年比率が下落しているのは熊谷と行田(これら二つの税務署管内は昨年下落率が拡大)のみで、それ以外の5ヶ所では横ばいとなっています。
東京の通勤圏であり再開発が進む県南部を中心に、地価の下げ止まり傾向が顕著になってきている一方、開発の目立った動きのない北部との格差は広がっており、他の地価指標(公示地価など)も示すとおり相変わらず南北格差が顕著になっています。
埼玉県の最高変動率は、昨年県内唯一の前年比率上昇(23.9%増)であった「JR川口駅東口駅前」が、本年も第一位で上昇率16.5%(路線価127万円)となりました。この場所は昨年に引き続き関東信越国税局管内では上昇率第一位となっています。
一方、県内の最高価格は、昨年同様「JR大宮駅西口駅前」で224万円(上昇率14.9%)で、16年連続で関東信越国税局管内の第一位となりました。
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