国税庁は7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる平成20年分の路線価(平成20年1月1日現在)を公表しました。路線価は土地の評価の基準となる価格の一つで、主要道路に面した1平方メートル当りの土地の評価額です。毎年1月1日を評価時点としており、調査地点は全国約38万ヶ所となっています。
例年ですと8月1日に発表となりますが、各税務署に配布する冊子版路線価図を廃止し今年から閲覧をインターネットだけに切替えた事で、事務作業が簡略化されて発表が早まることになりました。
従ってご家庭のパソコンは勿論の事、全国の国税局や税務署に設置されているパソコンでも閲覧可能となりました。
平成20年の標準宅地の路線価は、前年比10・0%増の14万3,000円となり3年連続の価格上昇となりました。
昨年同様、三大都市圏(東京・名古屋・大阪)や地方の中核都市は上昇を続けています。実際に札幌・仙台・福岡などは大幅に上昇しておりますし、県数でいえば昨年より2県多い14都道府県で路線価は上昇しています。
その一方で前年下落していた27県中11の県では下落幅が拡大し、今年は愛媛県を加えた28県で路線価が下落しています。これまで同様相変わらずの二極化であり益々その差が広がっていることを如実に示していると言えるでしょう。大都市では人口の集中、地方の県では少子化や若者の県外中核都市等への流出などの影響があると言えそうです。
しかしながら上昇率に注目すれば、昨年とは違う変化の兆しが見えます。東京や大阪の中心部ではサブプライム問題の影響で不動産投資が抑制されたり景気の減速感や資材高騰による不動産市況の冷え込みなどで上昇率は鈍化して来ておりますし、逆に地方中核都市では人口・インフラの集積や不動産投資マネーが流入し上昇率が伸びております。
それを示すかのように東京圏や名古屋圏では堅調な伸びであるものの上昇率は縮小しており、大阪圏では上昇率低下、地方圏は横ばいと地価上昇の勢いが衰えつつあるようです。従って地価は今がピークかあるいはピークを少し過ぎた所なのかも知れません。
今年3月に発表された公示地価ではその上昇率が住宅地で1.3%・商業地で3.8%となっておりました。路線価の上昇率10.0%とは大きな開きがあります。これは両者の前年比平均の算出方法に違いがあるためです。
公示地価では各調査地点の上昇比率を単純に平均するのに対して、路線価では調査地点の地価額の平均値で上昇比率を算出するためです。従って路線価の方は伸び率の高い大都市の影響を大きく受ける事になります。
埼玉県内約1万8,000調査地点の標準住宅の平均路線価は、前年比6.3%増の11万9,000円となり、昨年に引き続き2年連続の上昇となりました。
路線価を県内15の税務署別に見てみれば12の税務署管内で上昇、3税務署管内(本庄・秩父・行田)では横ばいと16年ぶりに下落した所はゼロであり、上昇率でみれば全税務署管内で増加しました。
傾向としてはやはり都心に近い県南部が勢いがあります。川口などは大型商業施設が地価上昇の牽引役ですし、川越や朝霞などは地下鉄副都心線開通の期待から上昇率が前年に比べ高まっております。 また、全税務署管内で上昇率が前年比増加している事が示している様に、都内都心部の上昇率鈍化の影響はまだ及んでいないと言えそうです。
県内でもっとも価格が高かったのは17年連続で「JR大宮駅西口駅前」で269万円(上昇率20.1%)、もっとも上昇率が高かったのは4年連続で「JR川口駅東口駅前」で前年比29.1%(164万円)となっております。
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