国税庁は7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる平成21年分の路線価(平成21年1月1日現在)を公表しました。路線価は土地の評価の基準となる価格の一つで、主要道路に面した1平方メートル当りの土地の評価額です。毎年1月1日を評価時点としており、平成21年分の調査地点は全国約37万ヶ所となっています。
平成20年より各税務署に配布する冊子版路線価図を廃止し、閲覧をインターネットだけに切替えた事で発表が早くなっております。
平成21年の標準宅地の路線価は、前年比5.5%減の13万7,000円となり4年ぶりの下落となりました。全都道府県で下落し都道府県庁所在地別に見ても、 昨年と比べて路線価が上昇した都市は無く(昨年は前年比上昇都市25ヶ所)、昨年と比べて下落した都市は39ヶ所(昨年は11ヶ所)であるなど、平成20年とガラリと様変わりしております。
要因としてはやはり昨年後半のいわゆるリーマンショックによる金融市場の混乱から、不動産投資マネーの減少した事と言えます。
その証拠に、投資マネーの流入により昨年大きな伸びを見せた東京都・愛知県や地方中核都市のある宮城県・福岡県・北海道などは昨年の反動ともいえる大きな下落幅となっております。 まさにミニバブルが弾けてしまった事を如実に表しています。(下記表参考)
★平成21年分の下落率の高い都市について前年との変動率の比較★
福岡県 | 東京都 | 宮城県 | 愛知県 | 北海道 | |
---|---|---|---|---|---|
平成20年 | 8.6%(4位) | 17.4%(1位) | 12.5%(2位) | 10.8%(3位) | 6.5%(7位) |
平成21年 | ▲8.6%(1位) | ▲7.4%(2位) | ▲6.8%(4位) | ▲6.3%(5位) | ▲6.0%(8位) |
※()内について、平成20年は上昇率全国順位、平成21年は下落率全国順位
圏域別に見ても、3年連続で上昇していた三大都市圏は4年ぶりにいずれも下落、特に東京圏と名古屋圏は前年10%以上の上昇を示していましたが、今年は6%を越える下落になりました。他、大阪圏と地方圏も3%超の下落を示しています。
路線価の全国一位は24年連続で東京・銀座の鳩居堂前銀座中央通りで1平方メートル当り3,120万円で前年比2.0%の10年ぶりの下落でした。
今年3月に発表された公示地価では、3年ぶりに下落し住宅地で3.2%減・商業地で4.7%減となっておりました。本年の路線価の下落率5.5%とは開きがあります。これは両者の前年比平均の算出方法に違いがあるためです。
公示地価では各調査地点の上昇比率を単純に平均するのに対して、路線価では調査地点の地価額の平均値で上昇比率を算出するためです。従って路線価の方は伸び率の高い大都市の影響を大きく受ける事になります。
埼玉県内約1万7,500調査地点の標準住宅の平均路線価は、前年比3.3%減の11万6,000円となり、3年振りの下落となりました。
埼玉県内の路線価を県内税務署別に見てみると、本年は全15ヶ所において下落となりました。昨年は下落した税務署管内はありませんでしたので, 今年は好対照の結果となりました。
県内最大の下落幅を記録したのは、「大宮駅西口駅前ロータリー」で7.1%減(前年は20.1%増)で1平方メートル当り250万円(21年県内最高路線価)です。次いで5%超の下落を記録したのが「浦和駅西口ロータリー」と 「越谷駅東口駅前ロータリー」です。やはり不動産投資マネーの流入が途絶えた影響を受けた事を示しています。
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